ホームシアターや音響関係に必須の「アンプ」。皆さんもよく耳にする名前だと思いますが、 意外にちゃんと理解している人が少ないのが現状ではないでしょうか。
アンプとはアンプリファー(Amplifier)の略でその意味は「増幅器」です。一言で「アンプ」と言っても様々な種類がありますが、 これは時代と共に変化したものやメーカの製品用語であったものが一般化したもの、 また自作アンプと製品アンプでカバー範囲が異なることから発生した呼び方の違いなど理由は様々です。
取りあえず初心者がホームシアターを構築する上では「AVアンプ」を選択すれば間違いはありません。その後グレードアップを考えるのであれば、 用途に応じたアンプを揃えてつなぎ合わせ、自分の好みに合った音場を造るのも良いでしょう。
まずは、ここではメーカ製品として一般的に使われている呼び名で整理し、一つ一つ解説していきます。
別名をパワーアンプといい、その名の通り増幅機能のみ特化したアンプで日本語では「電力増幅器」といいます。 目的は小さな入力(CDやDVDの音など)をスピーカーで聞こえるように増幅することです。 スピーカーはこのアンプが無いと音を鳴らす事が出来ません。 よくアンプ内臓スピーカーと言われているものはこのアンプが組み込んで有ります。 出力レベルの単位が「W(ワット)」なのは、電力(電圧と電流の積)を増幅しているためです。
プリアンプは日本語で「前置増幅器」といい、入力レベルを一定の電圧まで増幅する「前処理」を行うアンプのことです。 メインアンプの出力レベルが「W(ワット)」なのに対して、プリアンプの出力レベル単位が「Vp-p(Vは電圧、p-pはpeak to peak)」 なのは"電圧"を増幅しているためです。
主に備えている機能は以下になります。
因みに5,6番目の機能は、アナログ時代のレコードプレーヤーを再生するために必要だった機能なので、 デジタルが主流になった最近では装備して無いものも増えてきました。
プリ+メインアンプ。つまりプリアンプとメインアンプを一緒にしたアンプで、普通は左右2ch(ステレオ)の出力を持ち、 これ一体でCDなどからの入力ソースをスピーカーで鳴らすことが出来ます。ミニコンポやラジカセなどはこのアンプを内臓しています。
たまに後述するAVアンプと勘違いしている人を見受けますが、一般的にプリメインアンプと言えばオーディオ用のアンプをさします。 最近ではAVアンプ並みにマルチチャンネルに対応し、デジタル信号処理機能(DSP)まで兼ね備えた製品も登場して来ています。
オーディオ・ビジュアルを兼ね備えたオールイン・ワンのアンプです。これだけ有れば取りあえずホームシアターの心臓部はそろいますので、 初心者にはもってこいのシステムと言えます。AVアンプは基本的なプリメインアンプの機能に加え、更に下記の機能も搭載しています。
プリメインアンプが2ch(ステレオ)出力なのに対して、5.1chサラウンド対応のAVアンプであればプラス4個のスピーカー (センター、サラウンド左右、ウーハー)に対応したプリメインアンプを内臓しています。
現在ではプリアンプと同義語として扱われていますが、本来はプリアンプの中のヘッドアンプやイコライザアンプを除いたアンプを指していました。
アナログ時代にレコードプレーヤーとメインアンプの間に入れていたアンプです。 レコードには細い溝が彫ってあり、その上をレコード針がなぞる事で音をピックアップしていました。細い溝に入りきらない低域はRIAAと言うルールで 減衰させて録音していたため、そのまま再生すると高音がキンキンした音になってしまうので、減衰させた低域を持ち上げる処理を行っていたのが、 このアンプです。
これまたアナログの時代、レコード盤からカートリッジ(通称レコード針)を使って音をピックアップしていました。 この時に使うカートリッジがMC(MovingCoilの略)型の場合発電できる電圧が低く、そのままではイコライザアンプ(フォノアンプ) に接続しても十分な電圧を得られないためこのアンプを使い増幅していました。 つまりイコライザアンプの前段で増幅処理を行うアンプのことで、プリプリアンプとも言われています。
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