スカイ・クロラ

THE SKY CRAWLERS
評価	：	★★★★★｜★
種別	：	SF/アクション/青春/アニメ
製作年	：	2008
製作国	：	日本
配給	：	Warner Bros. Entertainment Inc.
監督	：	押井守
出演	：	菊地凛子、加瀬亮、谷原章介、榊原良子、平川大輔、竹若拓磨、兵藤まこ、安藤麻吹、竹中直人

【ストーリー】

　カンナミ･ユーイチは､戦争請負会社ロストック社に所属する戦闘機のパイロット｡前線基地｢兎離洲(ウリス)｣に配属されてきた彼には､それ以前の記憶がない｡彼にわかっているのは､自分が《キルドレ》であることと､戦闘機の操縦の仕方だけ｡空で戦うこと――それがユーイチのすべてだった｡

　基地の女性司令官クサナギ･スイトも､かつてはエースパイロットとして空で戦ったキルドレのひとり｡スイトについては､｢ユーイチの前任者を殺した｣｢キルドレなのに子供を産んだ｣……と､さまざまな噂が飛び交っている｡そんなスイトに惹かれていくユーイチ｡初めて会ったはずなのに､まるで彼を待ち続けていたかのような視線を注ぐスイト｡二人の距離が縮まるのに､多くの言葉も､多くの時間も必要なかった｡スイトは､思いもかけない言葉を口にする――｢殺してくれる？さもないと､私たち､永遠にこのままだよ｣

　一方､基地を取り巻く戦況は日ごとに激しさを増していった｡彼らの前に立ちはだかるのは､ティーチャーと呼ばれるラウテルン社のパイロット｡仲間たちが次々に撃ち墜とされ､基地に新たなパイロットが増員されてきたとき､ユーイチは新任パイロットが新聞を几帳面に折りたたむのに気づく｡それは､ティーチャーに撃墜されて戦死した同僚､ユダガワの癖そのものだった｡

　このことは､いったい何を意味するのか――？

　蘇ってゆくユーイチの記憶｡キルドレが背負った運命の真実｡｢殺してくれる？｣と言ったスイトの言葉の意味｡すべてが解き明かされたとき､ユーイチは自分達に課せられた運命に立ち向かう決意をするのだった｡
｢ティーチャーを撃墜する｣

【レビュー】

評価が真っ二つに分かれそうな映画です。

監督は「GHOST IN THE SHELL　攻殻機動隊」で世界に名を轟かせた押井守。原作は森博嗣の同名小説でベストセラーらしいのですが、私は未読です。

ストーリーは単純なようで難解な哲学を含み、押井守監督の得意とするところですが、彼はこの作品を通して“若い人たちに生きる意味を伝えたかった”とのこと。ダメだったら監督を辞めるとまで豪語したらしいのですが、はたしてこの映画で本当に若者たちに、監督の思いは伝わったのでしょうか？

終始淡々と進むストーリーと生気が見られない“キルドレ”たち。平和の証として行われる戦争請負企業同士の、“キルドレ”を使った合法的な戦争ゲーム。彼らは戦争以外で死ぬ事も無く、また死んだとしても再生産？されて、終わりの無いゲームに再投入される。生きる意味を見出せない彼らに若者を重ねているのは分かりますが、現代の若者はそこまで無気力とは思えないのですよね。

確かに無意味に歳を重ねて社会に出て、右も左も分からないまま迷子のようになる若者も居ますが、それは今に始まった話ではなく、過去の時代だって「今時の若者は使えない」という常套句は散々聞かされてきた話だと思います。

またゲーム世代の申し子である現代の若者が、人生をリセットするかのように凶悪犯罪を犯したような報道を目にすることも有りますが、その事件が今の若者を代表するわけでは決して無いわけです。

現代の若者を色眼鏡で見ずに、真正面から捉えると、意外にしっかりしている人が多いと最近は思っています。逆にバブル破裂後に社会に出た私達の方が、若い頃はもっといい加減で向こう見ずだった気がします。

むしろ今の年配者が若者の思考や感覚に付いて行けず、その事を認められずに「最近の若い者は･･･」と言って、若者をなじっている感じがしないでも有りません。

そう考えると押井監督の“若い人たちに生きる意味を伝えたかった”という一言は、とてつもなく傲慢では無いかと、中年になりつつある私などは思うのです。

（でも「好きにやってみろ」と放任すると硬直する若者は増えた気がするな･･･。）

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